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⑴ 「市復旧計画」の進ちょく状況
① 事業費ベースで、平成25年度末に91%を達成
「市復旧計画」のなかでは、東日本大震災において被災した市所管の公共施設や市道、上下水道などの 社会基盤の復旧に関する工程表を示しており、策定以降、市は市民生活の安心と暮らしの再建に向け、ラ イフラインの復旧や生活に直結する施設の改修などに全力で取り組んできました。
この結果、契約事業費ベースでみると、平成23(2011)年10月に策定した「市復旧計画」で示した全体 事業費見込額に対する進ちょく率99%と比較し、平成25(2013)年度末では進ちょく率91%であり、当初 計画を8ポイント下回りました。
なお、平成26(2014)年9月末では進ちょく率99%を達成しています。(図4-(1)-1)
500
68億円(9%) 655億円(91%)
108億円(16%) 551億円(84%)
379億円(59%) 260億円(41%)
H23年度末 (全体事業費見込額)=639億円
(全体事業費見込額)
=659億円
(全体事業費見込額)
=723億円 平成24年度~ 26年度(予定)
平成25年度~ 26年度(予定)
平成26年度(予定) 平成23年度
平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
(年度末実績)
614億円(99%)
(全体事業費見込額) 614銭円 0.3億円
107億円(17%) (1%) 126億円(20%)
381億円(62%) H23.10策定
(当初計画)
H24年度末
H25年度末
平成23 ~ 24年度
平成23 ~ 25年度
100
0 200 300 400 600 700 (億円)
② 平成26年度末の進ちょく率100%をめざし
小区分(施設)単位でみると、位置づけられた124区分のうち、平成25(2013)年度末までに116区分が 完了しており、残る8区分で復旧をめざしています。
このうち平成26(2014)年9月末では2区分がすでに完了しています。(写真4-(1)-1、2、3、4)
4 早期復旧に向けて、全力で事業遂行 (復旧事業)
4 早期復旧に向けて、全力で事業遂行(復旧事業) 3 市復興ビジョン~市復旧計画・市復興事業計画
■写真4-(1)-1
泉中学校体育館(復旧前)
■写真4-(1)-2
泉中学校体育館(復旧後)
■写真4-(1)-3 永崎の橋出馬落前線橋梁 (復旧前)
■写真4-(1)-4 永崎の橋出馬落前線橋梁 (復旧後)
■図4-(1)-1
「市復旧計画」における 契約事業費の進ちょく率
【市施設等の被害、復旧状況】
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⑵ 県事業など、そのほかの進ちょく状況
① 一時提供住宅の提供
ア 応急仮設住宅の建設や民間住宅の借り上げ
市は住宅が損壊または被災した被災者が恒久的な住宅に移行するまでの間、応急仮設住宅を建設すると ともに、雇用促進住宅や民間の借上げ住宅を同様の一時提供住宅として扱うことにより、避難住民の対応 などを進めてきました。
この結果、一時提供住宅入居がピーク時(平成24[2012]年4月2日調査)では、3,221戸、8,984人を数 えましたが、平成27(2015)年1月9日現在では、1,788戸、4,791人まで減少しました。
イ 応急仮設建築物復興特区の認定
市内には、津波被害を受けた後に、復興の推進に必要な仮設の郵便局や集会所、共同による仮設商業施 設・事業所などが建設されていますが、これらを建築基準法に定める期間(最長2年3か月)を超えて 存続させようと、福島県といわき市など県内市町村が共同して応急仮設建築物復興特区を申請し、平成 25(2013)年7月に認定を受けました。平成26年(2014)6月には変更認定を受けています。
この措置に伴い、本市では、久之浜仮設店舗・事務所、江名仮設公民館・市民サービスセンター、四倉 工業団地仮設事業所などが、被災建築物の建て替えや復旧が完了するまでの間、存続することができるよ うになりました。
② 住宅団地被災や急傾崩落などの復旧
大地震によって、内陸部の住宅団地やその付近が滑動崩落、急傾斜崩壊、宅地擁壁の損壊など大きな被 害を受け、あるいはその危険があるため、安心して日々の生活を送れない状況に陥っている区域が市内で 多数確認されました。
このため、国・県・市の既成及び特例制度や東日本大震災復興交付金制度などの事業を活用し、復旧に 努めました。また、これら復旧工事の完了に伴い、常磐西郷町忠多地区へ発令していた避難勧告について も、平成26(2014)年4月17日に解除しました。
③ ガレキ処理の進ちょく状況
東日本大震災に伴い、いわき市内で発 生した「災害廃棄物等」の発生量は、約 92.1万tと推計しており、このうち地 震や津波で発生した「災害廃棄物」の発 生量は約68.4万t、津波により発生し た土砂などの「津波堆積物」の発生量は 約23.7万tと推計しています。
これらは、市内19か所に設置した仮 置場に集積し処理を進めることとして おり、市民の皆さんが仮置場へ直接搬 入した災害廃棄物を含め、生活の場周 辺で発生した「災害廃棄物等」は平成
24(2012)年度末までにその集積が完了し、また被災した家屋などを解体撤去した際に発生した災害廃棄 物については平成25(2013)年度末までに集積が完了しました。
これら仮置場に集積した「災害廃棄物等」については、県と(一社)福島県産業廃棄物協会との災害協定 に基づき、市は同協会いわき方部会員で構成する事業体へ委託するなどして処理を進めています。(写真 4-(2)-5)
平成26年(2014)年12月末現在、災害廃棄物については発生推計量約68.4万tのうち、約68.2万tの処
■ 写真4-(2)-5 ガレキの山を分別処理(八日十日処分地跡地仮置場) 〔平成26(2014)年11月 いわき市撮影〕
5 震災前にも増して元気ないわき市を(市復興事業) 4 早期復旧に向けて、全力で事業遂行(復旧事業)
- 8 - - 9 - 理が完了し、津波堆積物については発生推計量約 23.7万tのうち、約23.4万tの処理が完了して おり、処理の進ちょく率は全体で約99%となっ ています。
処理を進めるにあたっては、最終処分量をでき るだけ少なくするため、可能な限りリサイクルを 進めており、発生した「災害廃棄物等」の約7割 をリサイクルできる見込みとなっています。(図 4-(2)-1)
平成26(2014)年度は被災船舶の処理や津波堆 積物を新たに整備される防災緑地などの資材(土 砂)として活用するための選別処理を中心に「災 害廃棄物等」の処理を進めています。
なお、「災害廃棄物等」の処理の進展に伴い、 設置された19か所の仮置場のうち、既に14か所 は仮置場としての使用を終了しており、残りの 仮置場についても、「災害廃棄物等」の処理が 完了し次第、整地などの原形復旧を行い、平成 27(2015)年3月末までには仮置場としての使用を
終了し、「災害廃棄物等」の処理事業がすべて完了する見込みとなっています。
5 震災前にも増して元気ないわき市を (市復興事業)
⑴ 復興特区制度
① 国は早期復興をめざし、「東日本大震災復興特別区域法」を施行
市が復興事業計画を円滑に実施するためには、国・県の支援や連携が不可欠となります。
国においては、「東日本大震災復興基本法」(平成23[2011]年6月公布・施行)に基づき、同年12月に「東 日本大震災復興特別区域法」を施行しました。次いで、平成24(2012)年2月には「復興庁設置法」を施行 して、同年2月10日には復興庁、その地方機関として、福島復興局(本局=福島市)いわき支所をいわき 地方合同庁舎に開設して、事業迅速化を図りました。
復興事業施策としては海岸、河川、下水道、交通網、農地・農業用施設、漁港・漁場など、学校施設な ど、災害廃棄物の処理などが対象となり、おおむね5年間で完了をめざす予定となっています。
市は、国の特別区域(特区)制度を最大限に活用して、「市復興事業計画」(平成23 ~ 27年度までの5年間) を着実に遂行することとしています。
② 復興特別区域(復興特区)制度の概要
被災地の復興を円滑かつ迅速に推進するための具体的な手法としては、「東日本大震災復興特別区域法」 第47条の規定に基づく、「復興特区」制度があります。この制度は次の3区分で構成されています。 〔1〕個別の規制、手続きの特例や税制・金融上の特例を受けるための「復興推進計画」
〔2〕土地利用の再編に係る特例許可・手続きの特例を受けるための「復興整備計画」 〔3〕財政上の特例である復興交付金の交付を受けるための「復興交付金事業計画」 各計画については、国の認定を受けることなどにより特例が適用されます。(表5-(1)-1)
処理済
未処理 未処理 処理済 未処理
処理済 未処理
津波堆積物
再生 埋立
推計
推計 推計
推計
津波堆積物
再生
埋立 焼却
推計
推計 推計
推計
処理済
92.1万トン推計量
■図4-(2)-1 「災害廃棄物等」の処理状況(平成26年12月末現在)
5 震災前にも増して元気ないわき市を(市復興事業) 4 早期復旧に向けて、全力で事業遂行(復旧事業)